一枚起請文 (2011)
浄土宗宗祖法然上人800遠忌のため
混声合唱、僧の声、篳篥、笙、打楽器、20絃箏、弦楽三重奏
EDIZIONI SUVINI ZERBONI – MILANO
SCORE
浄土宗西山禅林寺派禅林寺委嘱
初演 2011年10月4日、京都コンサートホール
菊池敏子(指揮)、大谷祥子(箏)、山元徹(篳篥)、田中淳子(笙)、塩見裕子、山名玲奈(vl)、叶澤尚子(vla)、三宅依子(vc)
禅林寺庭婦人会、禅林婦人会、京都リーダーアンサンブル、女声合唱団コールアスター
『唱える』ことと『歌う』ことは、ともに 人声という、人間の持つ最もダイレクトな表現媒体から成り立っています。私達は書かれた言葉を、ただ読んで理解するだけではなく発声することによって、初めて自らの肉体と精神を通過した生きた言葉、エネルギーを宿した言葉として実感出来るのではないかと思います。
法然上人が亡くなる直前に書かれた『一枚起請文』。その中に説かれている、『ただ一向に念仏すべし』、これは上人が生涯をかけて説き続けてこられた教えのすべてを一言に凝縮させた結晶のような言葉です。
観念的な念仏や学問を修めることによってではなく、ただひたすら心から『南無阿弥陀仏』を 唱えることによってのみ救われるという教えのエッセンスを、 お坊さんが唱える『一枚起請文』と合唱団の歌声を融合させながら 『南無阿弥陀仏』を繰り返し歌いあげることこによって再現できればと思いました。
また、言葉だけでは表現できない心の感動や感性を音で伝える事ができればと思いました。
800年という長い歳月を経て、今日まで生き続け、そして今後も生き続けるであろう法然上人の教えを、2011年の現時点で音楽を通じて分かち合う、このような機会を持たせて頂いた事を心から感謝しています。
一人一人が唱え、歌い上げる『南無阿弥陀仏』が、一つの大きなエネルギーとなり、聴いて頂く方の心に届けば、幸いです。